ご自身の住まいを持たれている方は、一度は考えたことがあるリフォーム・リノベーション。
この仕事を本職としている僕は、この業界の実情をよく知っています。
リフォーム・リノベーションの実情ってどうなっているかを説明します。
職人が圧倒的に少ない
ニュースでもよく取り上げられている人材不足。特に建設業は顕著に足りないと言われています。
3Kと言われる仕事を基本したい人はいません。
若い人なんてほとんどいません。
30代でも若いなぁと言われる位です。
鳶さんやクロス屋さんは若い人が来ますが、すぐ辞めます。
肉体労働めちゃくちゃしんどいですから。
ゼネコンの現場監督して、僕もほぼ不眠不休の時期がありましたが、肉体労働は大してしない中、職人の皆さんは身体動かして深夜労働ですからね。
一部の若い人は掛け持ちで24時間働いてる人とかもいます。
新築現場では、解体や軽天、ボード張り工事は外人さんの割合がめちゃくちゃ高くて、打ち合わせしても通じないことも多々ありました。
リフォームは施主様とのコミュニケーションが命なので、外人さんは基本いません。
職人に求められる質が変わった
昔は、大工になるってめちゃくちゃかっこいい感じがしたんですが、今はかっこいい仕事をできている大工さんは一握りで、基本プレカットされた材木を組み立てる組立屋さんみたいになってきてしまっています。
和室を工事するのが大工の腕の見せ所なところがありますが、和室を作りたいお客様がいません。
たまに、和室が欲しいという依頼もありますが、和洋折衷なモダン和室という感じで、茶室を作ったり、神棚を作ったりなんて、めったにありません。
既製品の建具も、普段と違う別メーカーの商品がきたら、てんやわんやします。
施工説明書読んでくれる人は少ないです。
現在は効率重視の現場が多く、スピード重視で、そこに求められる品質・腕の見せ所という物は非常に少ないです。
例えば、お風呂はタイル張りのお風呂を選ぶ人って、一部のお金持ちの人位です。
基本、ユニットバスなので、組み立ては1日で終わりますし、スピードの早い設備屋さんは、1日で3件分組む人もいます。
給料が安い
とにかく安いです。
設備屋さんや電気屋さんは材料に利益を乗せて工事を請けるので、まだマシですが、腕一本で頑張る大工さんは人件費だけです。
年収は、良くて600万が良いところではないでしょうか。
それにガソリン代・工具代・駐車代・税金引くと、全然残らないです。
リフォーム・リノベーションの現場はコミュニケーションが命
現在は、「棟梁に全て任せてください!現場には現場のルールがある!」なんて、お施主様に言ったら一発アウトです。
リフォーム・リノベーションの現場はコミュニケーションが命なんです。
お施主様のご要望は、人によって色々こだわりがあり、それを汲み取るのが営業・設計・現場管理の仕事です。
職人さんもお施主様の気持ちをわかってくれる人が評価されます。
職人任せの現場がめちゃくちゃ多い
何社が経験した身からすると、職人さん任せの現場の会社が多いと感じます。
特に、中堅のリフォーム会社で、新卒を大量に採用している会社は、若手の子が経験したことのないことを無理やり受注しているパターンも多く、わからないまま工事を進めてしまうパターンもあります。
そうなると、完全に職人さん任せになってしまうんですよね。
そういう現場では、大抵トラブルが起こります。
リフォーム工事は会社の規模ではなく、担当する営業と設計、職人さんの質で決まります。
僕が見たトンデモ現場
誰がやったかわからないリフォーム後のお部屋を工事することがあるのですが、そこで見たトンデモ現場をご紹介します。
配管の勾配を端材で支えているだけ
通常、配管は勾配をとるために、勾配用の支持金具を使って固定していくのですが、配管部材の切れっ端を置いてるだけの現場がありました。
当然、地震がくると接着されていない端材は倒れ、水漏れしていました。
換気扇の風が天井裏に流れているだけ
トイレの換気扇の交換で、天井裏を除くとダクトがありませんでした。
排気が全て天井裏に流れているだけです。
そのため、天井裏はトイレの芳香剤の良い匂いがしました。
床を解体するとゴミだらけ
これは昔の新築の可能性が高いのですが、床を解体するとゴミがいっぱい出てくる現場が多いです。
同じ工事業者として、切ない気持ちになります。